第3話「飼育の作法」

あらすじ 

狡噛との関係性に自信を持ち始めた朱。そんな時、完全自動化されたドローン工場で変死体が発見される。あくまでも事故だと言い張る工場関係者だが、狡噛たちは事件の臭いをかぎつける……。


 「このディスクが小石になる。池に投げ込んで波紋を広げる。ドミノ理論や、バタフライ効果みたいな、ね。これはドミノの最初の一枚。迷える子羊にきっかけを与えてあげるんだ。ただのモルモットかもしれないし、もしかしたら狼に化けるかもしれない。結果が分からないからやるんだよ。とにかく、準備は整った。あとはどんな摩擦が発生するか。クラウゼビッツだ。彼は、戦場ではどんなに緻密な計画でも、些細な要因で遅延する可能性を指摘した。机上の作戦はどんなに練っても机上のものでしかない。偶然のトラブル、天候などのコントロール不可能な要因によって作戦が直面する障害、これが戦場の摩擦だ。もちろん、僕たちがこれからやることにも当然摩擦が発生するだろう。それが少しも楽しみじゃなと言ったら嘘になる。犯罪の摩擦がどんな形で現れるのか、それは偶然なのか、シビュラシステムの意志なのか。組織なのか、個人なのか。個人だとすれば、それは僕たちにとても良く似ているはずだ」(第3話 槙島聖護 セリフ) 


➤「このディスク」に印字されている文字「Johnny Mnemonic」 ファイル名:ウィリアム・ギブスン:「Johnny Mnemonic」和訳:記憶屋ジョニー
1995年公開のサイバーパンクを主題とするSF映画。脳に埋め込まれた記憶装置に情報を記録する運び屋ジョニー・ニーモニックをキアヌ・リーヴスが演じた。(ある意味ここがシビュラの伏線。機密情報=シビュラ、脳というキーワード) 


(あらすじ)
ジョニーは、通常のネットワークに晒すことのできない機密情報を記録して運ぶ不正取引人である。彼は、脳に埋め込まれた記憶装置によって情報を運ぶことができるが、自身にもその内容が判らないように、複数のキーによって暗号化されている。ある日、彼は装置の安全許容値を超える情報を運ぶことになる。それは、彼にとって想像を超える金銭的価値のある機密情報であり、全てのキーを使って時間内に取り出さなければ、彼の死を意味することにもなる。そして、期限内に情報を運ばなければならない彼は、情報の持ち主である企業の殺し屋に追われる身となり、同時にキーの一部を奪われ、また別のキーを破壊される。果たして彼は、無事にこの仕事を終えられるのか? (Wikipediaより) 


➤タブレットに映る管巻宜昭
新編集版での追加シーン#20「正義の在処」で登場する、農学博士。この時点で食物テロを考えていた。(槙島の序盤のセリフから、諸々の計画が上手くいかなかった場合の保険だと思われる)


【ドミノ理論】 
「ある一国が共産主義化すれば、動きはドミノ倒しのように隣接国に及ぶ」という、冷戦時代のアメリカ合衆国における外交政策上の理論である。実際に起こった現象についてはドミノ現象と呼ぶ。※共産主義政治や経済分野での思想や理論、運動、政治体制のひとつ、財産の一部または全部を共同所有することで平等な社会を目指す。その理念、共有化の範囲や形態、あるいは共産主義社会実現のための方法論などには古くから多数の議論があり、このため「共産主義」の定義は多数存在している。

【バタフライ効果】
 非常に些細な小さなことが様々な要因を引き起こし段々と大きな現象へと変化することを指す言葉。

 【クラウゼビッツ】
 プロイセンの将軍カール・フォン・クラウゼヴィッツ。戦争と軍事戦略に関する書物である「戦争論」の著者。


 セリフからの考察 

迷える子羊(金原佑治)=「飼育の作法」タイトルの意味の回収になっている。 

➤殺意を持て余す人間に、実際に殺人・犯罪を犯すことが出来る手段を与えることで、どんな摩擦が起きるか試そうとしている。今回の場合、その手段が「ディスク」である。(ドローンの制御を奪うもの) 

犯罪の摩擦=公安局 

➤シビュラシステムの意志なのか。組織なのか、個人なのか。

 この時点ではまだどれが槙島にとっての摩擦であるかははっきりしてはいない。が、「個人」のセリフで狡噛がフォーカスされ、「それは僕たちにとても良く似ているはずだ」と揶揄されている点から、狡噛がこれから槙島と対峙していくことが予測できる構成になっている。



八王子ドローン工場で死亡事故が発生。1係は総出で現場へと向かう。

(工場内は保安のため電波暗室となっているため常にオフライン)


被害者塩山大輔は生きたままドローンに解剖され死亡。死亡事故はこれで3件目。

工場関係者はあくまで事故死だと言い張るが、征陸、縢は殺人だと言う。



ここで金原という男が、工場のスタッフによって虐めを受けている場面を目撃。オフラインの環境下で、ストレス発散の方法としてそれは主任含め黙認されている。


1年前から死亡事故が発生しており、その間スタッフの配置換えは無い。その中で、金原がいじめのターゲットとされており、色相が悪化していることを突き止める。死亡事故の翌日に色相が好転していることから、犯人は金原であるとの見立てを立てるが……。



「ふざけるな!またお得意の刑事の勘か!そいつはただの妄想だ!貴様のような潜在犯がただの社会のクズに過ぎないという証拠だ!」
「俺たちの任務は、シビュラの判定した犯罪係数をもとに、社会の秩序を維持することだ」


状況証拠だけでは、犯人を特定することが出来ないということ、シビュラの判定が絶対であることを宜野座は振りかざす。(ここで征陸との確執が見える描写あり)。朱はそんな宜野座に対し違和感を覚え反発をする。


宜野座以外のメンバーは金原の犯罪を立証するために、狡噛を中心に作戦を実行。金原を挑発しおびき出すことに成功するが、金原はドローンを使って狡噛達を追い詰めていく。

そこへ間一髪でオンラインに成功した六合塚と縢が到着。ドミネーターを手にした狡噛は金原をパラライザーで執行する。


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